8/3で授業を終了し、8/4日に沖永良部に戻る予定でしたが、台風9号の襲来により、沖縄にまだ滞在しています。台風9号は勢力が強い上に、動くスピードが遅く、昨日から今日まで約1.5日間、マンションから一歩も外に出られませんでした。

 さて、4月から琉球大学大学院に通い始め、前期の授業がほぼ終了しました。初めて「農業」を講義として学びました。畑を耕しているだけでは分からない事を多く学びました。実際に農業をする上で必要ではないことも多くあります。農家ということでは、遠回りかもしれませんが、学ぶ喜びに満足しています。

 6月末に西表島で一週間の集中講義を受けました。マングローブ、西表島独特の亜熱帯雨林、サンゴ礁、イリオモテヤマネコ、と大自然を体験しながらの講義です。
 その中で、マングローブについての講義は、とても興味深いものでした。熱帯、亜熱帯地域の河口周辺など、満潮時には海水で覆われる湿地帯に生息する植物を総称してマングローブと呼びます。では、マングローブは、なぜ海水に浸る場所でも生きていけるのか?マングローブは、独自でその塩分を濾過する機能を持っています。濾過の方法は、マングローブの種類によって異なり、大きくは、3つの種類に分けられます。①海水塩分を根で濾過する種類、②塩分を葉の塩類腺から蒸散させる種類、③塩分を特定の葉に蓄積して一定量以上になるとこの葉を落葉させる種類などがあります。また、生存しているのが湿地帯であるため、地中に酸素が欠乏しています。それを補うために、根の一部を地上に出して、根で呼吸を行います。更に近年になって分かったことのようですが、種によっては、根で光合成まで行っています。
 私は、講義の中でこんな質問をしました。
「進化の過程で海から陸へと生存場所を移動させていったと思いますが、マングローブは、何が進化し、マングローブとなったのですか」
「マングローブは、もともと陸の植物で、陸上での生存競争の中で陸上が飽和状態になったとき、潮間帯を生存の場所に選び、その自然環境で生存するためにマングローブが進化したのです」という答えでした。
 マングローブは進化し、陸上に生存していったと思い込んでいた脳に、その解答は、大きな刺激となりました。
 生存競争の中で、あえて環境の厳しい潮間帯にその生きる場所を選び、その為に自らの機能を進化させていったマングローブに感動を覚えます。
 マングローブは、幼木の時、大潮時に一日中24時間海中に沈んでいる場合があるようです。それでも、立派に生きています。酸素呼吸ではなく、無酸素呼吸を行っているそうです。マングローブのたくましさに感服です。
 ここに生物の神秘性を感じます。動物とは違って、脳を持っていない植物はどのようにして、判断しその機能を進化させていくのか?植物の遺伝子の力とは?
新しい知識との出会いは本当に面白いものです。

おまけです。
西表島の河へジャンプ!

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