先月、久しぶりに東京を訪れた。
沖永良部島を出発したのは午後5時、羽田空港には8時半頃、途中の駅近くで東京のラーメンを食べた。広告代理店で働いていた時によく通った道だ。懐かしい。
 ホテルにチェックインして、遅い時間だったが、ホテルのバーで一杯飲むことにした。
客は一組だけ、こじんまりしたバーだった。入ると、そろそろ閉店です、一杯だけならば、ということで入れてもらった。島に戻り、ほとんどが黒糖焼酎、久しぶりに洋酒を頂くことにした。マッカラン12年、農家としては、だいぶ背伸びをした。閉店時間を過ぎると、客は僕だけになった。カウンター越しに、バーのマスターとの会話を楽しみ、お願いしてもう一杯頂き、リラックスした小一時間を過ごした。  
 次の日の夜、一次会も終わり、一人新橋駅の近くのバー行った。残念ながらバーは閉店していた。そういえば、もう4,5年ぶりになるだろうか?落ち着いた雰囲気で、酒好きにはたまらないバーだったのに、残念だ。仕方なく、ホテルに戻り、また一杯だけのつもりでバーに行った。バーのカウンターには、昨日のマスターは不在で、若い方が、切り盛りしていた。きっと今日はお休みの日だろうと思いながら、昨日と同じ、マッカランのロックを注文した。すると、カウンターの後ろから、「伊村様」と声をかけられた。しかしながら、見覚えがない。「今日もお越しいただきまして有難うございます。ジャガイモ農家の伊村様ですね、昨日のバーの担当のA氏は、今日はお休みです。もし、伊村様が来られたら、不在で申し訳ない旨をお伝えください、昨日は、いろいろお話を聞かせていただいて楽しかったです。有難うございます、とのことです」。挨拶されたその方は、フロアーのマネージャーの方でした。何かホッとした気分になった。その気遣いに感動を覚えた。また、東京に来たときは、このバーで、マッカランのロックを一杯飲もう。

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